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LOHASな日記 Vol.1769 | 2010.08.21
愛のかたち
日記当番:中館慶子
実家の猫の額ほどの庭に鎮座する、大きな石。
物心がついたときにはすでにあったにもかかわらず、まじまじと見ることなどなかった。
せいぜい「どっからどーやって運んだんじゃい」と思うくらいで。先日、帰省した折。ひとしきり雨が降った後、代わりに北海道といえども容赦ない太陽の光線が降り注ぎ、気温がぐんぐん上昇した。
居間にいた母が庭を見やり「乾いちゃったかしら」と呟いた。
「何が?」私の問いに、「ハートがね」と。庭の大きな石。上部が窪んでいて、それが見ようによっては縦長のハートに見えなくもないらしい。
雨が降るとそのハートに水がたまる。
すると決まって番の鳥がやってきて、仲むつまじく水を飲んでいくのだとか。
晴れた日が続くと、母はわざわざハートに水を注ぐ。
そして、番の鳥がやってくるのを楽しみに居間から庭を眺めている。いそがしく働きながら、いくつものお稽古事やボランティアにも参加し、そして父の介護もすべてひとりでこなしていたパワフルな母。
父が他界し、今では独り暮らしとなり仕事も週に2、3日にとどめ、家にいることが多くなったった母は、随分と歳をとったように感じる。
番の鳥を見ながら何を思うのだろうか。愛する家族を失った悲しみは私とて同じことだが、それでも一番長くずっと父のそばにいた母の虚無感は計り知れない。
中館慶子

北海道生まれ。
仕事でもプライベートでも、どっぷり活字と深い仲。
よく食べ・よく飲み・よく眠り、
合間を縫ってはホットヨガでツリーポーズ。
走ることも大好きで、夢は、いつかはフルマラソン!
わくわくする場所は海と本屋さん。
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